昨日昭和初期の古い印刷物を紹介しました。
醸造ラベルの方は色鮮やかな印刷物で、これが戦前のものとは思えないくらい。
正確な経過年数はわかりませんが、印刷されてから100年以上のラベルもあります。
当初から比べるとかなり色が変化しているはずで、
実際の色は誰にもわからないというのが本当のところです。
現在でもある印刷物の褪色問題
実はこの印刷インキの褪色問題、現在でもよく発生します。
紫外線で褪色したり、保管している間に色がくすんでしまうという問題です。
使い切るのに数年かかったりすると、納品直後のものと数年経過したものでは色が変わってしまい、全体的に色褪せた感じになって古さを感じさせ、品質問題になります。
特に一度にまとめて作る傾向があり、何度も同じ柄のものを再印刷して使用する包装紙など資材品で問題になりやすいです。
しかし、数年経って問題になるというのは明らかに作りすぎですね。
数年かけなくても印刷直後のものと数日経過したものでは色調は変化していきます。
業界用語では「色が沈む」なんていう表現をします。
印刷オペレーターは、この色の経時変化を予測して色の調整をしています。
インキの色調によっても、変化の度合いは異なります。
耐光性といいますが、原料として使用する有機顔料の色調によって耐光性に差があるのです。
一般的に、紫、牡丹、黄、金赤(朱色っぽい赤)、蛍光色などが特に耐光性が弱く、
インキの濃度が薄い(皮膜が薄い)とさらに弱くなる傾向があります。
ポスターなどで黄色が飛んでしまって、青っぽいボケたような写真になっているのを見たことはありませんか?
色によって褪色しやすいものとそうでないものがあるのですね。
褪色を少しでも防止したい場合は、選択肢として耐光性顔料を使用したインキの使用が有効です。 通常のインキを使用して印刷した場合と比べて褪色を抑えられます。
しかし注意したいことも
耐光性顔料のインキを使用しても、褪色を遅らせることはできますが、全く褪色させないようにはできません。
オフセット印刷のインキ皮膜は、通常1ミクロン程度と言われます。1000分の1ミリメートルですね。
この極薄の皮膜により繊細な色調再現がされているので、そもそも限界があるのです。
印刷物は食品ではないので、消費期限はありませんが
一度に印刷する量を抑え目にして、常に新しい物を使用するようにしたほうが良いという結論になります。