無処理版とは、印刷機に取り付ける前に現像処理を行わなくても良い印刷用の版のことです。
この無処理版、10年以上前から出ていましたが、最近急速に導入する会社が増えてきているようです。出始めた頃はトラブルや問題点をよく耳にしました。
10年以上経った今、現状はどうなのでしょうか?
私たちも、導入の際印刷物や印刷機に不具合が起こらないか、カラーマッチングは大丈夫か?と不安要素はたくさんありました。なので導入が決まってから特にトラブルに対しての情報収集に力を入れました。刷版メーカーさんに立ち会ってもらいテストも何度か行いました。。メリット、デメリットを調べるといろいろ出てくると思いますが私たちの経験した現状を挙げたいと思います。
メリット
・現像液を使わないので廃液が出ない
・現像装置のメンテナンス、清掃作業がなくなる
・現像工程がない分、刷版出力の時間が短縮される
・版キズが付きにくい
・網点がシャープに出る
・機上現像なので印刷機の状態不良に早く気付くことができる
デメリット
・上の写真のように視認性が悪い
・刷版代が若干高くなる
・機上現像のため、ヤレ紙(印刷調整紙)が若干増える
という感じです。
実際に作業してみると圧倒的にメリットの方が多く、デメリットは余り気にならなくなりました。
コスト面では刷版代が若干高くなっても、現像液代と廃液の処分代の方が高かったので抑えることができました。
廃液が出ないので地球環境、SDGsにも貢献できます。
あと現像液のメンテナンス、清掃作業がいらないというのは印刷オペレーターが扱うには大変メリットがあります。
印刷オペレーターは印刷機のメンテナンスという大事な役割を持っていますので今まで通りそちらに集中することができます。
ただ、最大のデメリットは視認性の悪さです。これはどうにもなりませんが、無処理版になってから視認性が悪いために版をよく確認するようになり、刷版の付け間違いが逆に減少しました。
デメリットが良い方に転んだ感じですね。というわけで今のところ順調立ち上がっている状況です。
無処理版を導入して1年。刷版メーカーさんからの依頼により上手く立ち上がった良い事例として2社、見学に来て頂きました。私たちも情報共有の場としてまた勉強させて頂くチャンスと捉えて積極的に見学を受け入れています。
これからも印刷技術を磨き、しっかりと設備を維持管理し、また刷版メーカーさんより依頼されるような工場であり続けたいですね。