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CO2排出量の見える化と削減への取り組み。中小企業が現実的にできることは。

CO2排出削減への動きが活発になっています。
気候変動に関する首脳会議では、日本は2013年比46%削減。2050年実質ゼロという目標を掲げました。
気候変動によって農作物を作る場所が変わる可能性や、従来の観光地が観光地でなくなってしまうことも予想されていますが、
グローバルで見ると、海抜の低い島々が水没したり、自然災害の大規模化につながったり、非常に大きな影響があることへの危機感がその背景にあるのでしょう。
国内でも梅雨時や台風シーズンの雨の降り方が変わってきて、豪雨による被害が深刻になってきています。



地球温暖化には様々な要因が絡みあっているということですが、「20世紀半ば以降の地球温暖化は、人間活動が主な要因である可能性が95%」(国連気候変動に関する政府間パネル報告書)ということで、その中でも二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が主要因だということは間違いなさそうです。

当社のような小さな会社でも生産設備もありますし、それなりにCO2を排出します。
かつてThink Grobal Act Localという言葉が流行りましたが、自分たちにできることをやらないといけないのだと思います。

では事業活動でどれくらいのCO2を排出しているのでしょう。
削減するにはまずCO2排出量を可視化する必要があります。

エネルギー・経済統計要覧によると、人類が1年間に排出する二酸化炭素の量は33,000,000,000t(330億t)と言われています。
そのうち日本は3.2%ということだそうで、約1,000,000,000(10億t)。

当社の排出量はどれくらいか。
計算できる便利なサイトが、カシオ計算機さんから公開されていました。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1192427170

こちらのサイトを利用させていただいて、事業活動によって排出されるCO2量を計算してみました。

すると当社の1ヶ月あたりCO2排出量は12,573kg
年間で150tほど排出している計算になります。
(家庭平均で年間2.7tなので約55世帯分)

ちなみにこちら、電力、燃料(ガソリン・軽油)、灯油、プロパンガス、都市ガスの使用量にそれぞれ係数をかけて計算上算出するものです。
原材料の製造によって排出されるCO2は計算できず省いています。


どうやったら減らせるか
屋上に設置してある太陽光パネルによる発電量が年間32000kwあります。
これを自家利用できればCO2を年間11t減らせそうです。
それでも7%減。安易に「すべてをグリーンエネルギーで賄います」とはいかないですね。
すべて太陽光パネルでやろうとすると、設置面積と数量が必要で、費用はもちろん新たな環境問題の種になりそうです。

車を全て燃費の良いハイブリッドに変えると、計算上は12.5t減。こちらは可能性はあります。

カーボンオフセットという概念もあります
どうしても削減できないものを、他の場所での削減や吸収量で埋め合わせを行うというものです。
例えば木を植えるプロジェクトに参加したり資金を提供するといったことです。

ちなみに樹木のCO2吸収量はどれくらいかというと
林野庁HPによると、1haに1000本のスギが育成されている状態として、樹齢40年程度のスギ人工林で1haあたり8.8t/年間。
林野庁HPより

概ね森林1haで3世帯分の排出量を吸収している計算になります。

当社の排出量をカーボンニュートラルにしようとすれば17haの管理された人工林が必要になるということになります。ちなみに17haは東京ドーム約3.5個分です。

樹齢40年程度の管理された人工林を17ha保有する。なかなか難しいですね。
CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度もあります。カーボンオフセットを推進するための現実的な取り組みと言えそうです。
ただし、認証を受けたとはいえきちんと適切に削減されているのか、吸収量は正しいのかチェックは必要かもしれません。

J-クレジット制度

自治体を中心にカーボンオフセット可能な様々なプロジェクトが設定されていますのでこういう活用の検討をしつつ、当面は適切にコスト管理をしながら機械のリプレイスや社用車の入れ替えを計り、地道に減らす努力を続けることになりそうです。
重要なことは、どれだけのCO2を排出しているのかきちんと可視化し、削減に向けて具体的な取り組みが継続されることなのだと思います。

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