これまで、当社に保存されている古い印刷機を紹介してきたのですが、ここで当時使われていた版を紹介します。
まずは活版印刷用の「活字」。
当社に残っているのは、金属の活字。これを1文字ずつ、木の型枠へはめていくという、気の遠くなる作業をしていたんですね。13世紀半ばに朝鮮で金属活字(高麗銅活字)が生まれ、続いて中国で木活字が生まれたそうです。グーテンベルクの鉛活字は15世紀半ばなので、東洋が最初だったんですね。当時、日本の主流は木活字がほとんどだったようです。
活字は鉛合金を用いて1本1本の頭に文字を鋳込んだものです。文字の部分が凸になっています。
また、銅版を腐食させて凸凹を作り、版にした版も展示されています。
これはトヨタカローラさんの広告のようです。
さらには、お札の印刷に使っていた木版もあります。
その後、写真による植字、通称「写植」が開発され、当社に導入されたのは昭和43年(1968年)12月だったそうです。写植は、写真の撮影方法を応用したもので、文字は黒いガラスに一面、同サイズの漢字やカナで埋め尽くされたものを機械にセットし、下から光を当て、その一瞬に印画紙(写真と同じ感材)に1文字ずつ焼きつけていくというもの。私が入社して3年ほどまでは現役で活躍していましたが、今のDTP(Desk Top Publishing)システムに移行するにしたがって、なくなりました。
今では写植を知る方は会社でも36歳以上の方ぐらいでしょう。
そんな中でも、現役で活字を組んで印刷している印刷会社もまだあります。活字で印刷した名刺は、オフセット印刷にはない文字の力強さ、鮮明さ、趣があるんです。みなさん、名刺をいただいたら、活字で印刷されているかどうかわかりますか?活字はよく見ると、文字のまわりにわずかに濃く太っています(これをマージナルゾーンといいます)。これが目にやさしくて可読性を高めているのだとか。時間とお金をかけてまでも、まだまだ活字ファンがいる理由です。
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半田中央印刷の社員です。